陽鳥
るるりら

陽鳥 




きのうのことのようだ
逃げ出すように ひとり列車に乗り 海を目指した
行き先は 宮島

宮島のカラスに逢いたくなったのだ
途中 かあかあ
二度ほど 鳥が鳴いた

外を見ると 鳥はどこにもいなかった
ぼんやりと あたりを見ると 見慣れた地名に見たことのある山の稜線
そっと目を閉じると 牡蠣打ちをする私が見えた 
あのときも かあかあ
二度ほど たしかに鳥が鳴いた

まだ保育園にも通っていなかった頃かもしれない
カラスが鳴いた場所で 母は私を連れて牡蠣打ちのパートをしたことがあった
まわりにいる おばちゃんが「お母さんより 上手だねぇ」と言ってくれたが
嬉しさは、だれにもさとられてはいけない
お母さんへの いやがらせかもしれないのに
ぐっと力を込めて
牡蠣の殻に金属を押し当て なにごともなかったかのように
牡蠣を開いた

あの時の鳥
あれは きっと 太陽の鳥だ
太陽は たとえ 直接見ずとも
背中で いまも わたしを励ましている


自由詩 陽鳥 Copyright るるりら 2016-12-06 11:01:39縦
notebook Home 戻る