頭の中の頭
ふるる

頭の中にもうひとつ
頭があって
それは
森でできている

涼しい泉のほとり
お姫様が金のまりを落して
しくしく
それとも
赤ん坊がさらわれた木の上で
えんえん

いずれにせよ
物語はめでたしめでたし。
安心した子ども達は眠りにつき…

そっと季節は動き
秋風が吹き
全てが染まる頃
頭の中のもうひとつの頭は
ざわざわと
動きはじめ

赤やだいだい
色とりどりの翼になった
生えるための素敵な背中を探しに
飛んでいった

まるまった背中
反り返った背中
無力な背中
そんな背中を翼は見つけ

一部始終を見ていたかの人は
森の小さな家
裁縫箱の全ての針に糸を通し
頭を出ていく





自由詩 頭の中の頭 Copyright ふるる 2016-09-30 10:02:12
notebook Home 戻る  過去 未来