卑文
梅昆布茶

等速運動をつづけているうちに鳥は羽根をもがれて
上腕二頭筋と三頭筋間のしがらみに別れをつげる

慣れない歌をうたいつづけて喉が嗄れたよるは
冷蔵庫のかたちをした夢をみる

B♭ないちにちの終わりに半音あがった
きみにあってキーを調整する

洗い晒したジーンズと擦り切れたカーゴパンツと
下着と靴下を干した部屋に狂った女友達からの電話がくる

レッテルを貼ることに忙しい缶詰工場で
僕はこっそり彼女のすきなヤスキヨの漫才をつめている

モペットの燃料にカストロールの
えらく高価なレーシングオイルを混合する
ぼくの日常をフラッシングするために

柳田国男の「蝸牛考」
でんでん虫とかまいまい
あなたの呼び名が時とともにかわるのですね





自由詩 卑文 Copyright 梅昆布茶 2016-07-18 13:21:19
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