ちょうどいい愛情なんだろう
DFW



お友達のお家じゃダイソンのSF的扇風機がクールに風を発生させてるのに
昭和な扇風機を昭和なわたしは
ぐるぐる回してアーアー言って
うちわで首に風をあて

カップメン片手に名古屋場所みて、あ、砂かぶりに蓬莱軒の女将さんだ、お着物高そーとか思いながら

妹が買ってきた雑誌を飛ばし読みして
読モや女優さんの微笑みとわたしがしたりするガチャガチャした笑いをくらべて
休みのお昼に少なからず希望や絶望を感じてる


どうせならぜんぶ無視したい
ぜんぶを無視できれば美しくなれる
でもなにも無視できない


一度JKやOLさんたちのカリスマになってみたい
お友達や知り合いや親に尊敬されたい
盛れてるわたしで桁違いなフォロワーがほしい
ホワイトな差し歯しか見せない笑顔をしたい
高須クリニックでいじって
イケメン俳優と熱愛報道されちゃいたい
危険な裸を持つ女になりたい


でもわたしほんとはめんどくさいから
なんの役にも立ちたくない
だれにも期待されたくない

今日はいてるパンツとか鼻毛処理とかもういちいち心配したくない
それでもうわたしをだれもどこにも連れていこうとしなくなる


相撲とかサッカーは弱そうなほうを応援する
なるべく期待うすのがドラマチックだから


ちかごろイギリスのポン引きに悩まされてるきみは
わたしのアトピーがそろそろ恋しくて
わたしはきみの低い鼻がなんか好きで
わたしの扁平足を世界一たいらだって
感動して定規を振り回しながら笑ったきみ
そのしぐさにちょっと照れたわたしは
世界一の卑怯者の玉座につかせていただくの

そしてわたしにはかたく締めつけてとろけさせる力が与えられる


ほつれた網戸のそとで
スゴいでぶ猫が
オナラをしてった
はやく帰ってきて
恋心っていうのは
きっとああいう音だから



自由詩 ちょうどいい愛情なんだろう Copyright DFW  2016-07-17 21:19:37
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