ゾエア
DFW



透けたドレスの色素胞が 破れだすドレスの模様を引きずり
駆け降りた階段のうえの影の
柔らかな滞在


終わりの星座の再来が まだその長裾の延長にまどろめる夜を 担える優しい足跡の腹面から放出された絨毯には影の染みが残っている




砂漠の付属肢 海の眼


とても運動性が弱く ホルモンの分泌もなく 浮遊する眼柄のないあなたは誰もいない海の底から
腹部を内側に強く曲げて
跳躍するように
独白する



美しい加速



パラソルを出て 遠泳をはじめるわたしは
7月のないがしろな爪痕の不遇を身籠り
きらびやかなゾエアの背棘に刺されて溺れる


夏の沈黙にまた
蠅が寄りあつまってきた





自由詩 ゾエア Copyright DFW  2016-07-15 01:59:46
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