ハル
DFW



ハル あんたはもういない
海のそばで 消えた
道端のヒメジョオンがわたしのすねを傷つける


あんたの笑顔はここにない
だからわたしは風邪をひく

炎天下の通り雨みたいなハルの横顔に濡れたままわたしの体温は消えてった


忘れたことなどないものを思い出すよ雨の後で


いまとなってはあんたに言いたいことは何もないけど
とにかく何かを言いたい

わたしのパパはデカ足だった
彼はハルを確かに愛したし
きっといまも愛してる

ハル わたしはあんたのことをなにも知らないままここに立ってるのかもしれない

ハルはいま
なにしてる ?


なにもなかったような焼けた肌になって
サンダルでスクータに乗り
屋台が建ち並ぶエリアを蛇行してく
そんなハルを想像してる


やっと言えば
ハルの子はハルに似た太陽みたいな姿になればいいと思う
元気に育てばいい


いろんな人と話してわかった
綺麗事っておおむね正しい
正しさを主張する人は色気をちょっとなくすけど
はなからわたしに色気はない

わたしは理由のない理由をどうしても聞こうとした
人のホンネなんていくらでもあり
真実に説得力なんてないのに


ハル 、
あんたたちは崩壊などしない
爆発する

クイーンの犠牲であんたはキングを手に入れる

あんたは暑さに騙されず
冷戦に勝つ
わたしはいいかげんカラの冷蔵庫を閉めて
あんたみたいになる


ハル ここからはあんたの顔がみえない
でもわたしはあんたを覚えていて
わたしがいつか忘れたところで
あんたは太陽の現在形だ ハル




自由詩 ハル Copyright DFW  2016-07-21 21:51:12
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