遠い日の夜
番田 


私は、暗がりの中で入口のドアを朝聞いた番号を頼りにカチャッと開けると、何か救われた気がした。私は街の明かりを頼りに、ドミへ戻った。ドアを開け、ルームメイトのアメリカ人の三人と挨拶をした。そして、私は彼女たちとテレビを見た。私は、誰かとテレビを見るという事自体、何十年ぶりかで、懐かしかった。彼女たちの写真は撮らなかったけれど、今頃何をしているのだろうか…。テレビはサッカー中継が映っていて、「これなら言葉がわからなくても楽しめる」と彼女たちが言っていたので少し笑った。しかし、相手は外国人だった。そして女性となると、初めてだった。これで相手が男だと、また話は違うのかもしれないが。しかし、私は多少なりとも英語が出来て良かった。そして、人間協力すれば外国人同士でもなんでもできると思った。しかし、彼女たちもフランス語がわからないようで、ハンサムな男に声をかけられても話すことができなかったらしい。そして、私が彼女たちの話に笑うと、何か、彼女たちもうれしそうだった。私はホームステイをしたことがなかったので、このようなことは初めてだった。そしてそのうちの一人はかなり美人な感じで、持参のMacbookに祖国の彼氏の画像を貼り付けているようだった。私がフトンの中から彼女の顔を見ると、確かに、そのようなうっとりとした顔をしているのがわかった。彼女は、遅くまでチャットか何かで、カレと会話しているようだった。

ところで、地下鉄はあんなに複雑なのかと、西海岸から来ている他の一人が私に日本のことを聞いてきた。私はそうだと答えた。そして、物価は日本の方が安いと知ると、明らかに見下された態度を取られてしまった。フロに入っている時、持参のシャンプーを使われはしないかと、服を脱いでいる時に中に乗り込んできたのも彼女だった。しかし、彼女は利発な感じの子で、表通りでの窃盗の被害を免れられたのも彼女のおかげなのかも知れなかった。私はIBMのThinkpadを持ってきていたので、その、西海岸の女の子がWi-Fiのパスワードを空手のチョップのようにキーボードを叩いて教えてくれたのを覚えている。しかし、調子が悪く、ネットには繋がらないようだった。そして旅行中は、最後までWi-Fiの恩恵に預かることはできなかった。結局、私はパソコンの貸し出しの店のようなところで最後までメールなどをチェックするため、行かなければならなかった。


散文(批評随筆小説等) 遠い日の夜 Copyright 番田  2016-07-09 16:28:26
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