蔦屋のなかのタリーズにて
梅昆布茶

蔦屋のなかのタリーズで
本を読む君に恋する
このあたりには哲学書や詩集を読む
女子なんぞめったにいやしない

でもちっともキャッチーではない眼鏡っこの君に惚れたのは
僕が非効率な耽美主義者であるだけの些細な理由にすぎない

高嶺の花に惚れてしまったただのジャガイモにすぎない
百合の根になろうとしてあがいたのですが

ハノイに一週間ほど戻ると言って微笑んだいつも可愛いアンちゃんは
戦争は少し憶えているし米兵もまだいるよってまた微笑む

君たちは国籍を問わずとうがたった頃突然いい女に生まれ変わるのだ
そして本当の性と生のバランスをしるのかもしれない

戦場カメラマンにもなれなかった僕はだれもうつしとれないそれを
言葉で模写してでもきみの着物を一枚ずつ脱がせてゆくのだ

刹那の愛の成就へのベクトルは
天の一つの星を指して黄金の矢となり

ちっぽけな隣人愛や人類愛を説く
素敵な嘘つき達の尻を蹴飛ばして飛び去ってゆくものさ





自由詩 蔦屋のなかのタリーズにて Copyright 梅昆布茶 2016-05-22 20:32:08
notebook Home 戻る  過去 未来