喰う寝るトコロに住むトコロ
るるりら

【空】


ねぇエトワール  たんぽぽの君に エトワールって名前をつけたよ
君の 中芯は 中空に在るよ
精一杯 背伸びする風の最果てを
つかめぬものを つかもうとしている

君のロゼットが 地面をつかむ
君がみている空は 
まっすぐかい

僕は天空だよ

嗚呼エトワール いつだって見ているよ
君が示しているのは あの空だよ
雨の日も 僕は見ていたよ

背筋を伸ばして まっすぐに君は立つ
あんなにも 君が美味しそうに咲いていたから
お砂糖のようにきらめく 朝露でまぶして 食べちゃったよ



 
【寝る】

穴を
想像しておくれよ
そして穴を覗いてごらん

ほら 広い畳の部屋に
いったい何人のお母さんがいるだろう お父さんもいるね
たいそう たくさん 居るぢゃあないか
やけに広い 畳の部屋
障子が延々と続いていて
ほのあかるく 親たちを 照らしている

君は穴からみているから人間らしい人間さ
だってほら
人間って 人の間って云うぢゃあないか

空間的な すきまや、
人物と人物の割れ目の 間にこそ棲みつくのが人間なのさ
黒板ばかりみている連中より 君のほうが人間らしいよ

おや
部屋の一番うしろに 男の子が一人いるね。
大勢のお母さんがいるけれど みんな黒板の方を向いている
あんなに遠くで、なにか云っている人のとおりに親たちは
子どもを育てようとしているのだね

なぜか たったひとりのあの男の子だけが
お母さんのおひざを にげだして 
穴を 造りはじめた

最初は、
ざぶとんを四枚あわせて
人の 入ることのできる穴を造ったんだ
そのうち 六枚で もうすこし大きな部屋にして
つぎに 八枚 十枚と
どんどんおおきな穴をつくった
大人もすっぽりはいるくらいの ざぶとんでできた穴さ

ざぶとんと さぶとんの間にあるちいさな穴に
男の子は眼をあてて、君にだけに聞こえる声で言ってるよ
「 みぃ~つけた 」 



【すむ】

あなたに みつめられて はじめて澄む わたしのこころ
あなたに ささやかれて はじめて住まう わたしのこころ
あなたと よりそって はじめて済む 私だけの心


*************
下記のような訂正をいれさせていただきました。
黒髪さん ご指摘ありがとうございます。

●訂正一つめ
つかもうする指先 ⇒ つかもうとしている

●訂正ふたつめ
空間的な すきまや、
物の割れ目の 間「ま」にしか 棲みつくのが人間なのさ
連中より 君のほうが人間らしいよ

改訂
空間的な すきまや、
人物と人物の割れ目の 間にこそ棲みつくのが人間なのさ
黒板ばかりみている連中より 君のほうが人間らしいよ


自由詩 喰う寝るトコロに住むトコロ Copyright るるりら 2016-04-20 11:41:57
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