サンドイッチ
蒼木りん

呼吸するみたいに

溜めると吐くとの繰り返し

わたしは

常に誰かと居たくない

いつもひとりで居たくない



子宮の憂いが背筋を伝わり

脳に蔓延して指令がでる

身体も心もデリケイトになっている

今日は

仕事などしていてはいけなかったそうだ


惚けていると脳の皴が伸びる

体温が上がると

茹であがって細胞が死ぬ


そんな

役にたたないことを考えて

横になっていなさいと言う



あの薄青い空の向うは闇で

ときどきぽっかりと黒い穴が開くと

そこから

見えない塵が降って来て

すべてに浸透していく


はじめから

ここに君はいないのさ

信じない君の妄想で

生き急ぐ君の世界を作り出している

取り巻くものすべては

無いのに有るもの

見えるものは

すでに無いもの


窓から見える電信柱の頭に

子猫

すべり落ちる瞬間の

一鼓動

リピートリピート


長い話の夢を見る

登場人物だけ覚えていて

ありえない会話をした

ありえない

玄関のベルが鳴る

寝返りをうつ鬱




いつもひとりで居たくない

常に誰かと居たくない

わたしは

溜めると吐くとの繰り返し

呼吸するみたいに






未詩・独白 サンドイッチ Copyright 蒼木りん 2005-02-22 09:06:53
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