流れる
藤原絵理子


秋の長雨 落ち葉を濡らす
行き場のない 人知れず孤独な
悲しみの樹 痩せた枝先に
溜まる涙に宿った光 いくつも


泡沫になる 紅蓮の炎
静けさの夜に 音もなく揺らめく
穢れた肉を焼き尽くしたら
涙も乾いて 清浄な白い骨が残る


虫の音も止んだ 夜更けに
ひそやかに昇る月 雲が流れる
華やかに燃えた恋の記憶は 墨絵の闇に


淀みにいくつも 雨粒が描く
流れゆく輪の重なり 紅いもみじは沈んで
つがいの鴨は泳ぎ去る 未来の方角へ


自由詩 流れる Copyright 藤原絵理子 2016-01-11 22:31:21
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