冬の宿
ふるる

薄曇り
灰色のやわらかなシーツの上
鳥たちが矢印で年のゆくえを示す

あなたがじっと見ている
薄緑の瓶の中にオレンジの蝶
と思えば炎

お湯の中に重い身体を沈めたら
ふかふかタオルで身体を清めたら
蒼黒い眠りの深海へ
大きなウツボのうねる身体

白銀のナイフ
と思えば朝日
目を射抜かれる

くだらない悩みが
雪のまっ白いにせかされて
タタッと逃げていく
臆病な足跡

新しい年の歌を作ったことを
あなたはもう後悔している

淹れたてのお茶に唇をつけ
夕べの夢を
乾いたお菓子のように
ぽそぽそ
散らかしながら

窓に雪の花々
儚いのはみな一緒
指で
ガラス越しに温めると
涙のように流れて消える

振り向いても
あなたはまだ
後悔のなか

おめでとう、とつぶやく





自由詩 冬の宿 Copyright ふるる 2016-01-01 15:55:16
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。。。。。恋愛詩っぽい。。。。。。