吉川さんお久しぶり
ふるる

ひとりの私はひとりきり
自転車のうえ
川底の小石
草の根元
に這うありんこ
のことは今は見てない
夕食の献立どうしよう
冷蔵庫には
ナスがひとつピーマンが数個
お豆腐半丁
またカフカのこと考える
『審判』超面白かった
真面目を装いお笑いを滑り込ませるカフカ
手に水かきのある女の人が出てきたり
『城』主人公Kの助手が双子で変なことする
『変身』虫と断定してないものらしい
「グレゴール・ザムザ」っていうネーミングセンス
「ザムザ」も「カフカ」もただものでない感じ
だから、ナスとピーマンで炒めものするんだった
お肉買って味噌炒めあとは
サラダ、煮豆、お味噌汁の具は
スーパーについたから自転車停める
混んでる風強い
今日は一の市か
お味噌汁の具は大根にしよう半分で70円
カフカは何食べたかなあ
お菓子とか食べたかなあ
お弁当持ってったかなあ
小さい頃ピクニックとか行ったかなあ
いつからあんな変なの書くようになったんだろ
猫派かな犬派かな
カフカに
「『城』のあの夫婦がもたもた歩いてくるところが好きです」
って言ったら
何て言うかなあ
「そんなところ、あったっけ?」
と言うかもしくは
「あれ、うちの両親」
と言うかな
しかしあの夫婦あんな過去のお蔭であんなになってしまったとは驚きの事実
Kの彼女が悪女だったのかどうかも藪の中
なかなか後半は読ませる
けど未完か~
蜜柑
重いしな
あっとシャンプーシャンプー
また忘れるところだった
危なかった
カフカはいっぱいラブレター書いてたらしい
一日三通って
メールかよ
カフカとのラブ
どんなかなあ
小説の話とかしたかな
しなさそう
ブタ肉
バラかロースかひれ肉か
このロース脂身多すぎ
カフカは『変身』をふき出しながら朗読してたらしい
分かる
『城』で調書を取られていたK
「いったい、クラムはこの調書を読むんですか?」
「いや、読みません」
読まねえのかよ
あ、あれは吉川さん
久しぶりに見た
声かけてみよ
吉川さんお久しぶり~



自由詩 吉川さんお久しぶり Copyright ふるる 2016-03-06 22:50:59
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