舞踏
春日線香

屋台がひしめく中を抜き足差し足
敵に見つからぬようぐっと腰を落とし
気配を抑えて中心へと向かう
一時は絶望に襲われたものの
そこはそれ我ら歴戦のつわもの
べっとりと黒いオイルを体に塗り
影のごとき姿で中心の広場へ
そこには巨大な骨組みが立ち上がり
頂には白い錫杖が待ち構える
その奪還なれば勝利は硬い
いよよ深まる祭日の気配に
我ら全裸の影坊主ども
櫓の骨組みに取りつき取りつき
ただ象形文字の踊るばかりに
天へ天へと昇っていく


自由詩 舞踏 Copyright 春日線香 2015-10-19 03:18:51
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