角埋山
春日線香

角を捨てるのなら山がよい
季節の巡りごとに生え変わる角を
ひとまとめに籠に上げて持っていく
このあたりは古い窯場だから
埋もれて見え隠れする陶片を拾いに
屑拾いがうろついているのもちょうどいい
土に戻るならそれでよし
人が拾うなら人が狂うだけ
未練を残さず捨ててしまいなよ
きゅうりのように細長い角は
長い時間をかけて分解され
やがては土を肥やすことになる
はるか昔からそうやってきたからこそ
秋には紅葉が燃え上がる
憎しみがとてもきれいな山だよ


自由詩 角埋山 Copyright 春日線香 2015-10-16 14:27:41
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