猫の列
春日線香

猫の列に並んでいると心が安らぐ
不安がどんどん消えていく
夜の暗闇の中でこの列が
どこに行くのか何を目的にしているのか
猫でない人には知る由もないが
ふりをして歩いていけばわかるだろう
閉鎖したガソリンスタンドを通り
墓地の背後をすり抜けて
熟柿を踏んで柿の木を回る
その向こうの防空壕へと列は続く
赤信号がぴかぴか光る
あの中へと皆入っていくのだ
入っていく穴をよく見ると
家よりも大きい化け猫の口
信号は化け猫の目玉
猫が猫を呑みこむ列の中途で
猫のふりをして尻を振っている


自由詩 猫の列 Copyright 春日線香 2015-10-14 17:53:56
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