蒼木りん



私を「お姉さん」と呼ぶ

妹が

電話で「離婚する」と言った

妹は

あの親の魂に

しきずられているのだろうと思う

ここまでの妹の顛末は

自己愛からなるあの親たちの

意識ない罪の性だろう

妹が

透析をしなければならない身体になったのも

あのときの

親の過失のせいではないだろうか

私はただ

始終を眺めてきただけだが

二日ごとに病院に通う

妹の血管が浮き出るほどやつれた腕には

注射の痣が痛い

あの坂を上ると

団地群が迫る

そこは夜景を見下ろす

とり残された街だ

妹よ

生きなければいけないよ

君が

あの親を看取っておくれよ

何処までも引き合ってしまうのだから

妹よ

生きなければならないよ

戻っておいで

思い出の続きをすればいい

少し話そうか

私は

義理の姉だけれども





未詩・独白Copyright 蒼木りん 2005-02-15 23:51:16
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