鉢植えの土によせて 「創作工房 群青 4月の課題 土 への提出作品」
そらの珊瑚

世界に雨が降ることは予定されていて
辺境のここは狭く
すでに飽和状態であったから
昨日の水を
留め置くことなく
昨日の水、を
手放している

どこへ向かうのか
誰も知らない
ゆくえをたずねても
春も知らない
わかっていることは
出口は
次の入り口へつながっているということ

ひとしずく よ
少女の耳飾りになりそこなったものよ
あやうく海へたどり着いたのなら
ぐるうり
めぐって
明日の水になり
ふたたび
もどっておいで
小さな心臓ひとつ
埋め込んだままの鉢植えへ

世界に悲しみがあることは予定されていて
土曜日の花冷えを旅行鞄に詰め込んでいる



自由詩 鉢植えの土によせて 「創作工房 群青 4月の課題 土 への提出作品」 Copyright そらの珊瑚 2015-04-11 15:15:36
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