放蕩息子
ヒヤシンス


 私を旅へと誘う郷愁が運河沿いの私の星空へ舞い戻ってきた。
 存在価値などをぶら下げているそいつは
 ひどく私を非難した。
 旅に出ろよ、こうもりが私の頭上を飛んでいる。

 マイルスのトランペットがもどかしく響く。
 運河の水は濁っている。まるで私の頭のようだ。
 きっとまた帰ってくる。
 そう言い残して出て行った私の半身はどこへ行ったか。

 存在価値が絵画になる。
 存在価値が音楽になる。
 存在価値が絶対的体積で私に積もる。

 私の半身よ。戻って来い。
 そして報告せよ。
 お前の見たもの聴いたもの感じたもの全てを私に教えておくれ。


自由詩 放蕩息子 Copyright ヒヤシンス 2015-03-22 01:27:56
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