ignoble
opus

舌から唾液を出来るだけ
すすろうとして
がっついてたら
もう激しすぎって
嗜められたんだけど
おじさんは鈍感だけど
経験を積んでるから
わかってて
でも、
君は19歳だって言うから
諦めきれなくて
それで、

それで
子供を2人生んで、
雄と雌で
君と僕の合いの子
みたいな感じで
(そりゃそーだ)
気持ち悪いって思ってたら
伝染して
「お前気持ち悪い」
って、
子供の癖に言ってきて

それでも育って
中学行って
高校行って
大学行って
娘なんか
大学の時に子供孕んで
相手は
イケメンのフリーターで
ふざけんなって
ブン殴ったら
小指脱臼して
なおかつ、
ウチに転がりこんで来て

息子は
気持ちワリィって
言って
家出てって
二度と帰って来んなよ
とか言いながら
君はコソコソ
仕送りして
その癖に
月1で帰って来てて
飯食って
そんで
僕が帰る直前に
帰って

君は文句を言う
「もっとはっきりしなさいよ‼」
僕は言う
「言っても君は聞かないだろう‼」
「そうやってすぐに決めつけて、
自分を守って‼」
「それじゃあ、
言うけど、」
グサリ
グサリ
グサリ
心臓が痛い

そんで、
63歳の夏に
癌になって
あぁ、もう死ぬかなとか
思ってたら
何か手術上手くいって
「くたばり損ねたな」
とか息子が嫌味言ってきて
ふざけんなって思ったんだけど
息子の隣には
孫が3人いて

娘は45歳の時に
挙げられなかったからって
バカ義息子が
挙式を用意して
孫のミヨちゃん(天使)の
子供(つまり俺のひ孫)の
サチコがブライズメイドをやって
そんで、
「お父さん有難う」
とか言うから
「気持ち悪いよ、今更」
とか言いながら
泣いちゃって
君も泣いてて
僕は本当によかったんだって

僕は君が先に
死ぬとは思わなくて
何だか辛くて
やる気が出なくて、
息子が月1でやって来て
「ほっとけ」って
「好きでやってんだ」って

庭には
大きな桜の木が生えている
今年も綺麗に咲いて
庭に花弁を散らしている
何枚かを拾い
湯呑の水の上に浮かべ
それを君の横に飾る

君は笑っている
だから、
僕も笑う




自由詩 ignoble Copyright opus 2015-03-15 18:48:30
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