グアテマラ

無漂白フィルターの中に入れた
二人分の茶色い粉に
静かに熱湯を回しかける朝
柔らかくふくらむそれらから
好ましい香りが立ち上る
何秒かのち
珈琲がカップに透過していく

円のそこかしこから
生まれた
泡が光り騒ぐとき
これから先の人生でも
訪れることもないだろう
長い内戦が終わったという国の
珈琲豆畑を
働く人の手を
思い浮かべてみる

ウラジオストック

たぶん
おそらく
悲しみの埋まっていない土地などない

Mt.FUJI

生きることと
死なないということは
同じようでいて
目指すところは一緒なのに
違うルートをたどる
登山者のような
わたしたち
（の酸素）

海の水が全て空へと還っていけば
陸続きであった
わたしたち
（の現実）