オルヴォワールの漸近線
ピッピ

あなたが思いついたように
乱暴なことばを荒げているころ
スタジオではあなたのような顔が
感動に値段をつけている
私は愛を知らないからと
あなたはなんだって吩咐かる
ささくれ立った棒を突き立て
つかない傷を口惜しがる
月が紅に見えた日は
精神安定剤を5粒飲む
それがひとの代わり
憂いを優しさにする
ひとの代わり

美しい弓の音がする
袋小路で猫が震えている
常識が銀座で死んでいる
平易な形象になっていく
解決しなければならない文章問題が
開く目の前に乱立しているのに
宿題に目を遣る筈もない
簡単な記号
簡単な公式
そういったもので
分かり合えることが
できたのなら

いつかあなたの優位に立つことができるのかしら
さようなら、
誰でも知っているようなことばで
足枷の鍵を解くことが
できるのかしら


自由詩 オルヴォワールの漸近線 Copyright ピッピ 2014-11-17 00:19:24
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