老いた町
ドクダミ五十号

高度経済成長期に
私鉄沿線のベッドタウン
緑道が貫き中流以上の人が住む
静か過ぎる町
老いた犬を乗せた乳母車
継ぐもの無き屋敷は更地に
時代の趨勢だと傍観する私の
心は産廃のトラックの荷台の
悲しい家具を眺めている
そこに住まずに何処に
家賃収入を求めて
賃貸住宅に変わる
富の蓄積と停滞が益々
町を老いへと導く
まるで古のローマの様だ
自由奴隷は住むだろう
暗い瞳と疲れた体を休める為に
滅びと老いの間に横たわる
諦めに似た寒々は
静かに町に降り注ぐ
私には無理だが
どうせ人生のたそかれを迎えるならば
町より遠く離れた過疎で死にたい
一つの夢だよ
老いたれば
老いたる町に死すよりも
ふさわしい死に場所があると思うのです


自由詩 老いた町 Copyright ドクダミ五十号 2014-10-24 12:52:19
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