前立腺針生検
イナエ

たかが検査 とは言え一晩入院
担当医は 大腸からの検針で麻酔無しだというが
ネットの口コミ体験談は どれを見ても大変そうだ
あるものは手術だといい あるものは 銃で撃つのだという
さらには 神経が集中していて麻酔が効かないとも
落ち着け 検査で死んだという例は見あたら無い

  自覚症状のないまま入院しても
  時間に追われるようにして
  点滴の器具を引っ張って検査室に入る
  下半身何も着けずにベッドに上がる。
  担当医は言う
 「5分ぐらいで済みます。はじめに消毒しますからね。
  気持ち悪いかも知れませんが、我慢してください。」
  五分なら痛くても我慢できそうだ 
  医師は 肛門を押し広げ 中をぐりぐりっとかきまわす
  荒っぽい 思わずのけぞる

直腸検査は括約筋の管理する門を通り抜けるだけ
こちらは銃身がグリグリ動いてまるで門が捩れるようだ 

「サンプル取ります。ぱちっと音がしますが驚かないでださい」
医師の口調は、優しい けれど行為は荒っぽい 

傷みで失神するかもと覚悟を決める。
が 「パチ」はあっけなく済む。
銃身は次の「パチ」に グリグリと移動する 
思わずのけぞる 
肛門を犯されるとこんな感じか

何度もグリグリと犯されて 
早く終れと念じる始めると
「はい。終わりました」と言う医師の明るい声
看護師さんが お尻を拭いてくれて
「パンツはいたら、部屋へ戻りますよ」

「どうでした」看護師さんが聞く
 肛門犯されるようだった とは言えず
「小さい頃おふくろに
『そんな尻の穴が小さいことで如何する*』って
言われたことを思い出した」とはぐらかす

検査後の血尿は最初の一回だけ
翌朝の排便は痛さに飛び上がる
肛門ウオッシュの湯が浸みる
血の塊が便器に散らばって 尿も血尿
看護師に見せると「大丈夫です」と言う

濃い麦茶色の尿は翌々日まで続いた



* 尻の穴が小さ=量がない・心が狭い
    


自由詩 前立腺針生検 Copyright イナエ 2014-10-20 10:03:20
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