鎮魂の歌
藤原絵理子


静謐だった森が ざわめき始める
築いている壁の 空だけで繋がった向こうで
錬金術師が 花火を打ち上げる
賑わいが 壁を越えて 壁を通り抜けてくる


あたしの心を鎮めてください
立ち騒ぐ波が 砂の城を壊さぬよう
平穏な祝福を与えてください
夢の欠片を 捨てきれぬ者に


追いかけて 敗れた者
追うことを 諦めた者
握り締めた掌に 傷跡を持つ すべての者に


幻を見ている 老いた日に
やがてはすべて 喜ばしい懐かしさと
穏やかな陽ざしに 包まれて 旅立つことを


自由詩 鎮魂の歌 Copyright 藤原絵理子 2014-10-13 20:38:37
notebook Home 戻る  過去 未来