夏休みをめぐる葛藤、と笑顔。
猫道

あの夏を忘れない あの夏を忘れない

あの夏を忘れない あの夏を忘れない



ウラシマタロウ君(28歳)のナツヤスミに終わりはない

何故なら高校3年のナツヤスミからずっと

10年間にわたって ナツ ヤスミだからである

8月31日が過ぎれば 翌朝は7月20日

いつまで経っても 9月1日は訪れないのです

それはまるで 蝉の燃えるような一生の儚さと正反対の 終身刑みたいな天国



ウラシマ君は未だに

フィッシュマンズを聴き

ナンバーガールを聴き

ミッシェルガンエレファントを聴き

ザ・マッドカプセルマーケッツを聴く

そのバンドはもうないのに そのバンドはもうないのに



「ナツヤスミがずっと続けばいいのになー!」

思えばそう言ってからだ 戻れなくなったのは

海の家が建つ 冷やし中華が始まる

コンビニに花火が アイスがうまい 夏の始まり

うだるような暑さにやられる はやく秋が来ねーかなと思いながらも

こんな楽しい過ぎ去ってしまったイベントの手ごたえが

徐々に薄くなる寂びさ 夏の終わり



8月31日

店じまいをする海の家をぼーっと眺めていると

開店準備をやってんのか 閉店準備をやってんのか わからなくなる

夏を始めようとしているのか 終えようとしているのか

わかんねー わかんねー わかんねー わかんねー

わかんねー わかんねー わかんねー わかんねー

夏 の せ い か し ら



そこに物言いが入ります

こうなるはずじゃなかった場合の

9月1日が来てしまった場合のウラシマ君(28歳 会社員)

「会社の昼休み。全く話が合わない連中から逃れ、
 一人のんびり食事をしていると、昼休みの終わりが悲しくなります。
 週末の終わりも悲しい。そういえば、僕がかつて高校生だった頃は
 ナツヤスミの終わりが一番悲しかったっけ。
 休みの終わりが悲しいのは、10年前から
 変わらない変わらない変わらない変わらない変わらない変わらない変わらない変わらない。」



大黒摩季が歌う 「 夏 が 来 る 」

井上陽水が歌う 「 夏 が 過 ぎ 」

来る 過ぎ 来る 過ぎ 来る 過ぎ 来る 過ぎ



ウラシマタロウ君(28歳)のナツヤスミに終わりはない

何故なら高校3年のナツヤスミからずっと

10年間にわたって ナツ ヤスミだからである

8月31日が過ぎれば 翌朝は7月20日

いつまで経っても 9月1日が訪れないのです

それはまるで 蝉の燃えるような一生の儚さと正反対の 終身刑みたいな天国



ウラシマ君は未だに

フィッシュマンズを聴き

ナンバーガールを聴き

ミッシェルガンエレファントを聴き

ザ・マッドカプセルマーケッツを聴く

そのバンドはもうないのに そのバンドはもうないのに



独り10年一昔前に取り残されたウラシマ君

果たして幸せでしょうか不幸せでしょうか

唯一つ言えるのは 人は竜宮城のように楽しい休みの始まりと終わりに

最も いい表情をするということ

最も いい表情をするということ



俺!!!



今!!!



俺!!!



今!!!



最ーもっ!!!!!






いい表情(笑顔)


自由詩 夏休みをめぐる葛藤、と笑顔。 Copyright 猫道 2014-08-19 00:33:41
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