夏の日のスイカよりも汗になりたい
アラガイs



めっきり歩かなくなってしまった
せめて自転車で買い物に行こう
買ったばかりの紫色
チャリンコは細い路地の近道を勢いよく抜ける
…車じゃ味わえない爽快さ…
そのうちガードレールが見えてくる
右手に折れれば国道だ
みんな、みんなが車で追い越して行く
負けないようにペダルを踏み込んでいく
…追い越されてもかまわない…
古い枝は覚えているのか
剥き出しのアスファルトに水溜まりが跳ねる
黄ばんだ汗がながれて
葉先は微笑みを待っている…

春は向かい風に煽られて帽子が飛びそうになる 。ため池はいつも雑草だらけで
、眼をやれば泡の中で何かが動いてる 。 スピードを落としてそっとガードレールから覗き混んでみた 。
「…亀じゃないか…」久しぶりに見た、大きな亀はゆっくり悠々と、濁った水を手で掻きながら、泥の甲羅を進めて、
、、タオルを取り出すと額の汗をぬぐった。
よくよく眼を凝らせば甲羅は重なりあちらこちらに沈んでいる。。
藻のような水草、塵のような餌の中を、もがく。。
。泥亀は風を知らない。。
見ているとなんだがうれしくなってきて、しばらくじっと眺めていたかった 。。

国道に沿って歩く人は少ない
遠くから二人、手をつないで歩いてくるのがわかる
…中学生くらいの男女だろう…やってくるわたしを気にも止めない
すれ違う帽子と頬
ひび割れた瓜がハンドルに落ちてきて
飛び散る果汁と種の記憶
風は駈け足で通り過ぎて行く
枝に滴がかかれば空は夏色に変わる
喉は飢えていた
「果物を買って食べなくちゃ…」
帰り道の鋪道は少し酸っぱかった。*









*お題からの発想をユッカさんより頂いています。


自由詩 夏の日のスイカよりも汗になりたい Copyright アラガイs 2014-07-14 03:24:24
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