フットボール アンド サンセット
イグチユウイチ

誰もいない練習場に行こうぜ。
フォワードになれなかった俺と、
ゴールキーパーになれなかったお前と。

みんな試合に行ってしまって、
クズみたいな俺達だけが残る練習場に行こうぜ。
ユニフォームはロッカーに投げ込んで、
ジーンズとスニーカーのままで。

だらしなくコートの中央に立ち、四隅までの広がりを感じる。
今日は空さえも遠い気がする。

転がっていたボールを適当に蹴って、
ダラダラと時間をつぶそう。
ブラジル代表の真似をして、
華麗でデタラメなドリブルをしよう。
くだらない事をいろいろやって、
カラカラと笑って、
空しさが満ちてきた頃に、
座り込んでしまおう。

いつも思い通りにならないのに、
いつまでもそれに慣れないのは、
なんでだろうな。

PKしようぜ。
お前がキーパー。
俺がキッカー。
次も、その次も、その次も俺が蹴る。
陽が落ちるまで、俺の順番。
文句あるか。

そのうち、
どいつもこいつも黙らせるような、
強烈なのを撃つから見とけ。
必ず見とけ。


自由詩 フットボール アンド サンセット Copyright イグチユウイチ 2005-01-23 20:14:48
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