はじめてのセックス
左屋百色

やかましい果実が無色になり
路上で処女が春を焼き尽くす
目を閉じて
梅雨空を写生した君が
葉の上で孤独を味わうのが六月
街は、ほら、鉄の香り

にぎやかなビルが無職になり
屋上で言葉が次々に干から、
びる。
鉛雲を集める僕が
機械に乗って果実をもぎ取れば
世界が濡れるんだ
(本当?
右と左がセックスしてる
窓が、全部。割れる。
(つまらない?
右脳が爆破すれば
世界の半分は芸術になる
無駄に、
大げさな比喩が
やたら、
大ざっぱな解釈で
並んで、いる、よ。
線路の上。で、ほら、ね。
(嘘?
セックスがセックスとセックスしてる
指が、全部。折れる。
今日!
その線路の上で潰れたトマトが
太陽を止める。
クリトリスより敏感な
夕方の色は
桜より美しい、
わりと濁っている、のに。
勃起した鉄塔が
郊外の風景をさらに殺伐とさせるから
女の子のからだは
今日も、まぶしい。
ひとりで、
[セックス]を検索した夜
もはや
君と僕の街に
夕暮れなんていらない。ね、
いちばん好きな色に染め上げて
街に射精したのに
風に引き裂かれ
電車は止まり、心臓も止まり
桜の花が、全部。散って、
土に戻った。この、街に、
君は二度と
戻らなかった、


自由詩 はじめてのセックス Copyright 左屋百色 2014-06-17 16:26:11
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