霧の中で眠る羅針 〔ソネット〕
ハァモニィベル

ドラマは想像力で成り立っており、
想像力で演じられるドラマが、日々、山脈のように連なり、
昼夜、〈者と者〉、あるいは〈者と物〉との谷間をせっせと渡っている
そのたよりないゴンドラの往復を、多彩なまでに互いの想像が動かし続ける。

断片的な情報の風が吹き荒ぶ崖を、煽られつつ、
ときに流されながら、想像力というハーケンとザイルを頼りに、
世界も人も想像で分かり合ってる。それは、
解説も手引もないまま参加してる、この世界というゲームの本質。

われわれは、何の根拠もない存在なのだが、理由も目的も無い、ぼやけた
霧の中で、論理という絵空事だけが正義を振りかざし根拠を問うことがある。
問い糾せば何の根拠もないこの世の中に向かって。

人生に目的などはない。その耐難い不安の、心の穴の上から政治が微笑みかけ、
それに想像力で笑顔を返しながら、今日も、
生命維持装置に繋がれた、たった一つの内面世界の寝顔を、花を持って見舞う。





自由詩 霧の中で眠る羅針 〔ソネット〕 Copyright ハァモニィベル 2014-05-04 08:49:18
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