シーサイド
木屋 亞万

波打ち際に重油を撒いた
小さな見えない火が揺れる
夕焼けみたいだな
波は引いていくのに
火は消えない

水際で阻止された汚染
陸地は汚れなかったけど
海はめらめら
汚れたままだ

日が沈む中
熱を持つ

表面を撫でるだけの波は
いつも砂浜で戯れて
尖ったものをまるくする
砂を頽落させていく
平らに平らに舐めていく

燃えてるものは燃えたまま
汚れは汚れたままうすく
うすく広げて
うすめては
沈んで
見えなくなっていく

水は腐るのではなくて
生き物の住処になるだけ
死すら汚れになりきれない
清潔な水というのはさびしい


自由詩 シーサイド Copyright 木屋 亞万 2014-04-20 23:59:10
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