ふね
藤原絵理子
あたしは舟を漕ぐ
薄紅色にぼんやり光る水
空には忘れ物をしてきた月
待ち続けていると
ガラス窓に張り付いた
ヤモリの手までかわいく見える
むかしの歌は
遠ざかり行く駅の
プラットフォームに溢れた
懐かしい人たちの笑顔
少しだけ綺麗になった
賢しら顔からメガネを取って
きみに恋した昨日から
流されていく 忘れ去っていく
自由詩
ふね
Copyright
藤原絵理子
2014-04-09 22:11:42