不思議な顔
藤原絵理子

枯れ葉色の服を着た
不思議な顔の人が
あたしの家の前で
ばたりとたおれる

空気を切り裂く
やかましい音
不思議な言葉の叫び声
うちの犬が走りまわって吠える

町で見かけるおじさんも
枯れ葉色の服を着て
燃えてる車にもたれてる
けむたくないのかな

空が泣き声をあげてる
風も吹いていないのに
砂あらしの夜みたいに
あたしは息をひそめるんだ

不思議な顔の人が
にこにこしながら握手する
あたしは不思議さがこわくて
泣きそうになる

犬がおとなしくなって
空が泣きやんだらいいけど
それよりか
早くお父さん帰らないかなあ


自由詩 不思議な顔 Copyright 藤原絵理子 2014-04-07 22:54:39
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