三月の木蓮
rabbitfighter

冬の間はずっと裸なので誰の目にも留まらない

俺が覚えているのは今日よりも明日のことだ

可能性が萌え
可能性が生い茂る
明日のことだ

今は裸でいる
冬だから
はだか

冬はだから
いつも愛おしい
全ての季節は風によって塗り替えられて
明日から春になる

爆ぜる音 を 聞き逃して
一週間くらい遅れてやってきた余震の響きにうまく乗ることが出来ない
まるでスタジアムの歓声みたいだなんて
嘘をつく

嘘をついたんだ
小さな嘘を
はだか
セックスの後にかけるべき言葉がみつからない
頭の各部位が毎日順番に痛む
それぞれの配置を確かめているように
知っていることと知らないこととこれから知るであろうことの平均値には
いつもマイナスの記号がつく

それが
想像することすら出来ない未来へと還っていくという感覚の
背景なのかもしれない

白地に
艶やかな木蓮の
花が咲き乱れるワンピース

唐突かもしれないけど
君は今でも
泣き続けているだろうか


自由詩 三月の木蓮 Copyright rabbitfighter 2014-03-11 02:53:59
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