ボーナスの日
番田 


ボーナスの配られるのを見ながら
自分がアルバイトなのだと実感している
ジェームスブレイクのような
感情のない目つきをしている僕
この会社では短いが
業界では精魂尽くしてきたつもりだ
そう思うのだが
思うことのすべてが目の前でシステマチックに処理されている
ビジネスに何も感情は介在されないらしい
そんなことはないと思うのだが


誰からも声をかけられることもなく
前の女同士のヒソヒソ話を聞く
もう若くはない女同士で
子供の一人もそこに生み出されることもなく
だから僕は
今夜も夜の風俗街に赴くさ
そこで体験したことをあらいざらい一遍の詩に書くつもり


だけどポケットにはそんな余裕もなく
カマキリのような目をして
鬼気をはらんだ街をやり過ごすさ
だけどあいつはなぜ
カラオケがへたくそなのに
僕をいつもすぐにカラオケに誘うのだろう
確かに君は細かな音階は取れているけれど
何もハートを感じないような気持ちで
そんな無表情な歌を僕は聴きたくもなかった


自由詩 ボーナスの日 Copyright 番田  2013-12-14 02:14:54
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