冬空
蒼木りん

冬の反対は
夏かな

なんて単純な頭
わたし馬鹿なのよ

そんな言葉で言うこと
赦して

少し前は
人より鋭いかもしれない
なんて密かに思っていたけれど

いまは
無理して背伸びすると
ほころびるのがわかる

わかるだけ
まだ増しなのかな


冬の反対は
夏かな

って思ったのは
このひんやりした空気が
なんて言えばいいのか
とても清い気がしたから
この歳になって
はじめて

去った夏の
あらゆるものの狂おしい満たしを
思い出して
やがてまたそれが廻り来ることを
想像していたよ

そして
わたしは
だんだん使いものにならなくなるんだろうな

夏には
少し再生するかな
なんていう期待もあるけれど

こんなものでも
仮にも
駄目になるまで面倒を見てくれるなんて
ありがたいことだね

もらった肉体を
自分の思うままにできずに
人前に置いて逝かなければならないこと

それだけが
こころのこりだな


冬も
終わりに向かって
歩いているんだよね




未詩・独白 冬空 Copyright 蒼木りん 2005-01-06 14:46:35
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