遠い日 おもちゃのラッパでした
そらの珊瑚

時々
じょうごがあったらなぁとおもう
たとえば
砂の粒を透明なびんにあつめる時
たとえば
湖水を小分けして胸にしのばせる時

いちみりも
こぼさずに
うつくしく
やりとげなくては
いけない


てにおえないほど
たくさんの ろくでもないもんが
いつのまにか
ようけ放置されとって
わたしは
きょうも
途方に暮れる

いっそ ぶちまけちゃろうか

じょうごの
ほそいつうろを
それらがとおったとき
ほんのいくばくか
じかんのそくどがおそくなるという
ほうそくに しはいされる


朝顔が
空にむかってじょうごの形で咲いている

蝉の声など
あつめているのだろうか
あつめて時間の止まった黒い種にしているのだろうか


けれど
わたしのてもとには
じょうごがない
おそらくは
なにかに 転用してしまったのだろう


遠い日
じょうごは実用道具ではなく
音の鳴らない
不真面目な おもちゃのラッパでした



自由詩 遠い日 おもちゃのラッパでした Copyright そらの珊瑚 2013-08-12 09:16:26
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