足あとⅡ—十字路を曲がってから—
りゅうのあくび

誰かの涙のように
なぜか理由もなく
寂しくなって
小雨は降っている

街灯の光りが
点かないうちに
晴れであれば
まだ夕陽の落ちた
跡がかすかに
残っているはずで

少し曇りかけている
眼鏡の外には
モノクロームの
時間が流れ始めていて
ゆっくりと
色褪せながら
徒歩の速度で少しずつ
風景が過ぎてゆく

道には終わりは
ないけれども 
夕刻に再び戻る
いつもの十字路では
明日への小さな祈りがあって
いつかの永く遠い昨日とともに
時を刻んでいる

十字路を
曲がってから
家路は終わる
まだ小雨はアスファルトに
静かに降り続く


自由詩 足あとⅡ—十字路を曲がってから— Copyright りゅうのあくび 2013-06-12 20:12:33
notebook Home 戻る  過去 未来
この文書は以下の文書グループに登録されています。
足跡詩集