猫飼いたい
三田九郎

ひとりの時間が
ぼくを許していく
ぼくを溶かし
ぼくを連れ出す

孤独は嫌いだし
結局好きだ
どっちみち
ひとりなんだし

愛がたとえば
かりそめでも
望むときだけ
あればいい

わがままだよね
猫みたい
わたし犬派
かわいいじゃん

かわいくなくても
ひとりが好きだ
寂しいのは嫌だから
ときどきはふたりがいいけど

世界が愛に
満ちていたら大変だ
逃げ場がなくて
即死する

従順なんか
おそろしい
たまには無視とか
してくれないと

無視したいし
無視されたい
関係ないし
関係ある

許されて 溶かされて
連れ出されるのも
たまに
でいい

ぼくのいのちを
ぼく ひとりで
引き受けるのは
きっと無理だ

どっちなんだ
どっちもなんだ
わがままなんだ
それがなんだ

猫飼いたい
そう言ったら
却下された
即答


自由詩 猫飼いたい Copyright 三田九郎 2013-04-21 09:51:27
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