道化師の秋
梅昆布茶

子供達がてをふりながらさってゆく
老いた道化師は泣いた

彼らはもうサーカスを振り向かない
ガランとしたテントだけが残される

1918年の秋はからっぽだった
1928年には不安が流れた
1938年には花火があがった
1948年には牛が角のために殺され
1958年には心を売った
1968年にはだれもが不幸だった

すべては失わなければならない
すべてはしななければ
すべては
すべて

1978年には月が崩壊した
1988年には泣きながら彼は言った
1998年には彼はいなかった
2008年には彼女が生まれて

2018年には僕らは出逢い
2028年には恋をした

2038年にはやっと道化師の秋
2048年には恋をした子供達が手を振って去ってゆく

道化師は泣いた

すべての夢は死ななければならないから




自由詩 道化師の秋 Copyright 梅昆布茶 2013-04-13 00:21:09
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