トリビュートやまだ紫 性悪猫
梅昆布茶



若手漫画家の登竜門としてCOM並びにガロはぼくらの教科書だった。

その女流の中でも異彩を放っていたのがこのやまだ紫氏と岡田史子氏だったと記憶する。

やまだ紫さんはもともと詩人だった。

エッセイストでもあり京都精華大学漫画家部教授でもあったが2009年に他界されている。

詩の部分だけを抜き書きすると



山吹

めんこいですろ?

めんこくない?

ん?

かわいいですろうとおたずね申したの



そういうの

考えもんではねのでしょう?

感ずるもんですか

おまいは子を産じた試しがおありなの?

わたし?

まだ



わたしはね

子を産むとき

母親のわたしも

一緒に産んだよ


子を育てつ

母親のわたしも

育てるよ


これが

なまなかな

ことでないから


子が愛しいか

どうなんだか

見極めている

ひまがない


あれを産んで

最初の冬


最初の雪が


舞い散る

土埃を掴まえて


やけみたいに

ばらばらと


空気が急に

しんとして


胸の内も

しんとして


これらが産まれて初めて

見る雪だ

そう思ったら



うれしいと

泣き


悲しいと

泣き

とうとう

雪が降ったと 泣くのです


うまれたての

わたしらの見るものは

あれも これも

驚きで

やがて愛しい


ほら

山吹が咲いて

すごいじゃないか

あの黄色




こんな詩に猫の漫画がついているわけなんだが。

たまたま古本屋で見つけてしまった懐かしい女史は既に他界していた。

僕のマドンナは今も空の高みであのふっくらとした和風美人のままで

漫画かエッセイでもものしているのだろうか。


散文(批評随筆小説等) トリビュートやまだ紫 性悪猫 Copyright 梅昆布茶 2013-04-08 02:37:14
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