なんせんす・さいザンす
大村 浩一

                   ソンナコ ト アッタ?
                       −− 入沢康夫

きょう外へ出かけたら
道でばったり十数年ぶりで
なつかしい人に会うかもしれない
あの時はお互い色々な事情があって
いまではそれぞれ自分の子供を連れていて
いまさら会ったってお互い
もうどうにもならないんだが
それでも出会う時はあるんだ


きょう見舞いへ出かけたら
死の病いの人が急に持ち直していて
枕元で昔話に花を咲かせるかもしれない
病状は末期的で
もと通り歩ける日々など戻らない
いまさら数日生き延びたってお互い
もうどうにもならないんだが
それでもそういうことはあるんだ


きょう披露宴へ出かけたら
昔の仲間が日焼けして中年太り
何事もなく今日の良き日に至れり
と思ったら数年前事故で車から放り出され
九死に一生を得たんだって言う
それでも聖人になったりはしていなくて
相変わらずの猥談好きなんだが
それでもそういうことはあるんだ


鞄の中味
開けてみたら
石鹸だったり
にしんだったり
シュレンディンガーの猫だったり


2004/12/22
大村浩一


自由詩 なんせんす・さいザンす Copyright 大村 浩一 2004-12-24 00:34:03
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