悲しみの上に
HAL
独りじゃないと想っている間は
大地を踏みしめて生きていける
でも逆境のとき苦境のとき
ひとは独りだと気がつく
差し伸べる手はなく
悲しみの海に沈みそうなのに
だれも浮き輪は投げてくれない
でも どんな不細工な泳ぎ方でもいい
岸辺へと塩水を飲みながら
生をつづけるために全力で手と足を漕げ
それが悲しみの海から這い上がる
たったひとつの方法
そして悲しみの上に立ったものの力は強いことに
きみはようやくに気がつく
それはまたひとはひとの力を
言い換えるなら善なるものの力を
信じていいことでもあるときみは想う
そしてさらにひととひととは
その信じる想いで繋がっていくことにも
それを“愛の成就”と呼ぶのだときみは知る
自由詩
悲しみの上に
Copyright
HAL
2012-12-29 20:21:59