美しい空白
HAL
眠れぬ夜がつづく
なぜに睡魔は訪れないか
こころに障ることもなく
日々は穏やかに流れつづける
それなのになぜ眠れぬ
それなのになぜ睡魔は訪れぬ
そのときにようやくに気づく
これは現ではなく夢だと幻だと
そしてその夢は幻はいつまでも醒めぬと
そして目醒めのときはもう来ぬと
そうすでに落陽はあれが最後
平安のなかでそのものは永遠に目醒めぬ
ときの渦に
ただあるがままに
沈みゆくのみなり
憂いも
悲しみも
苦しみも
もう憶えることはなく
ときの渦に
ただあるがままに
沈みゆきながらそのものは
美しい空白とは幸福そのものであるかを知る
自由詩
美しい空白
Copyright
HAL
2012-12-28 11:43:18