パティ・スミスのように
梅昆布茶

君は少年のような頬と
薄い胸をしていた

感情が高まった時に
鋭く視線をさまよわせては
まるで炎を吐くように絶叫するんだ

震える肩からは
幾筋かの血が流れ
世界を汚していった

そう
バックステージパスは
誰にも発行されないんだ

ただ無数のぬめぬめとした光を放つ
蛇たちが
こちらをじっとうかがっているだけさ

魂の上昇気流は僕たちを
遥かな高みにまで押し上げる

やがてあの開放された場所が待っているんだ

だからその拳を振り上げるんだ
とじられた扉にむかって
あるいは突き刺さる風にあらがって
卑猥な言葉のひとつもなげかえしてやるんだ

僕たちは去勢された兎ではないし
耳をぴんと立ててよく聞いてくれ

僕たちは
唄わなければならない

たとえ髑髏の山たちが嘲笑しようと
パティ・スミスのように

薄い唇と
突き立つような魂で

唄わなければならないのだ








自由詩 パティ・スミスのように Copyright 梅昆布茶 2012-12-05 20:38:18
notebook Home 戻る  過去 未来