動機
あおば

                     121120

動機とは
発動機に頭が付いていないものだと思った
頭が付いて始めて動くと思った
頭がないと動かない 回らない
音がしないし役にも立たないただの大きなでくの坊
農園の物置の隅に放置され粗大ゴミになるのかな

本日は晴天なりと大きな声で言ってみる
いつ頃の話かというと
本日だから今朝の朝方でそろそろ陽が出る頃あい
リサイクルゴミの日だからこれから新聞紙を縛り
段ボール箱を畳み積み重ね えっちらと横町の角まで運んで行くのです
そろそろ始めないと回収時刻に遅れ置いてけぼりを食うことになります
我が家には頭が付かない動機しかないから載せていって貰うわけにもいきません
使い古しの乳母車のような手押し車に載せ えっちらと押してゆくのです
段ボールも古新聞も食べないからカラスさんには会うことはないでしょう
発動機に引っ張られた大型リヤカーが何処かの農園をのんびりと走っているのを昔見たことがあります
今でも趣味で集めて修理して日曜日に回転させて楽しんでいる人も多いと聞きました
我が家のせこい動機は今朝配達されたばかりなので頭を付けてもすぐには回りださないだろうと思いながらもとにかく手で回してみようかなと思っている堂々とした体躯の演歌歌手の2次元映像なのでどんな不合理な体勢からも巧みに技を繰り出し土俵を割ることは決してないのだとチェンネルを変えながらえっちらと立ち上がりよろよろと回転しようと考えている古くさい発動機のコセコセした動機付けに今朝も失敗しそうです。






初出 「あなたにパイを投げる人たち」の即興ゴルコンダ(仮)
                http://anapai.com/tanpatsu/goru/
タイトルは、三枝フウさん。





自由詩 動機 Copyright あおば 2012-11-20 13:12:33
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