まぜるな危険
メチターチェリ

青空いっぱいのクレパス
小脇にかかえて師匠が走る
予定より少し早い
このあがないきれない月をどこにやればいいんだ
くもは
水気をおびてたくましくくもは
ひろがった気圧のすきまからいっせいに黒が侵食して
いかしたいころしたい光の差すほうへ
ちぎれながら小脇をかかえたきれいな月が
寒空いっぱいのくもを壁と天井のちょうどよいすきまに敷きつめる
ひたひたと景色の知り合いでもある
師匠のあしおとが聞こえる
ひとつずつ角を失っていく季節にお湯を沸かして朝
漂白する水の冷たさに思わずおどろく


自由詩 まぜるな危険 Copyright メチターチェリ 2012-11-06 20:23:14
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