雨の音を聞きながら書いた詩
rabbitfighter

コーヒーとクッキーとタバコの三者択一をせまられて、
それらの選択肢の詳細を明示されない。

コーヒーはドリップなのかエスプレッソなのか、
クッキーはバターをつかっているのかいないのか、
タバコは香料入りかそうではないのか、

考えているうちに、なにも選択しないまま、時間切れになる。

この部屋は、あまりにも多くの直線が交差していて、
同居人たちの名前を僕はしらない。
それから、丸くなって眠る自由だけが保障されている。
名前を知らない友の、寝息に耳を傾けながら。
つまり直線は、生きている者の輪郭を辿ることが出来ない。

直線は、生きている者の輪郭を辿ることが出来ない。
直線は、生きている者の輪郭を辿ることが出来ない。

君のいるその部屋には、
水で満たされた花瓶があるだろうか、
そこに花は活けられているだろうか、
その花はまだ枯れていないだろうか、
直線は、生きている者の輪郭を辿ることが出来ない、、
果物は甘く熟れているだろうか、
窓は時々開かれるだろうか、
そこから風は吹き込んでくるだろうか、
その風はどんな匂いがして、
そこからどんな音が聞こえて、
同居人たちが、
優しく寝息を立てていて、
やはり君も、彼らの名前を知らない。

なぜなら彼らもまた、何も選択しないままやって来たから。


自由詩 雨の音を聞きながら書いた詩 Copyright rabbitfighter 2012-10-03 17:30:12
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