ママと僕、母さんと俺
乙ノ羽 凛

ママ、一人で食べるご飯は寂しいよ
大好きなママが作ってくれたのに

美味しいご飯なはずなのに
冷たくてしょっぱいよ

耐えられずに玄関の扉を開けた
月明かりが綺麗な夜だった

走っても走っても
月が追いかけてくる

逃げ出した僕を照らしているの?
ねえ、お月様…ママは僕のこと嫌いなの?

月が出ている夜は好きだった
お庭に出ると月明かりが僕を照らしてくれるから

月日が経つにつれて大好きだった月明かりも
窓からぼんやり眺めるくらいになった

いつからか一人称は俺になった
母さん、昼夜いつも働いてくれてありがとう

全部全部、俺や家庭の為だったんだね
寂しい寂しいって泣くたびに見せた笑顔

今思い出せば母さんも寂しかったよね
一人で何もかも切り盛りして大変だったよね

でも何もわからない俺はいつも一人で泣いてた
今になってやっとわかったよ

寂しかったしわがまま言った
それで母さんが辛い思いしてたのも事実なんだ

でもみんなと同じおもちゃも買ってもらった
流行りの洋服も着せてもらったのも事実なんだ

綺麗だった手もいつしか、しわが増えたね
母さん、ありがとう。

今度は俺が恩を返す番だよ
親孝行、沢山するからずっと元気で笑っていてね

俺は昔から母さんの笑顔が大好きなんだから


自由詩 ママと僕、母さんと俺 Copyright 乙ノ羽 凛 2012-08-11 10:20:26
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