断片
クローバー

『白い部屋が白くないとき
 人はたいてい
 寝ているか 
 たそがれているか
 死んでいるかです』

『ふやけた指が
 その婦人を苦しめるのは
 しだいに歳をとっていくことを
 思い出させるからで
 これから行われることとは
 何の関係もありません』

『20m、追われていた男はプールに飛び込んだが
 水が張られていないことに気づいて
 空中を引きかえそうとしたが
 追跡者の顔が妻そっくりなのを見て空中に静止した』

『世界平和を切に願う
 科学者が発明した
 雨をバランスよく降らせる装置は
 外交手段の1つとして大いに活躍した』

『煙突が線香、ビルが墓石に見える
 地下食品売り場でつまみ食いしている男は
 残念ながら死者でもゾンビでもなかった』

『どこ行きのチケットになるのか
 知らないけれど
 地獄も天国も
 もう定員を満たしているため
 新しい場所を開拓しに行かなくてはならないらしい』

『ほんの少し前に
 考えていたことが
 道端で花を咲かせても
 ほんの少し前に戻ることができないので
 それが美しいかどうかは
 知りようがありません』


未詩・独白 断片 Copyright クローバー 2004-12-10 00:05:21
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